平成25年(2013)より長野県山岳遭難防止対策協会が、登山による滑落・転落・転倒事故の多い山域を「山岳ヘルメット着用奨励山域」に指定しています。どの山域も岩場や鎖場、切れ落ちた登山道が連続する難コースで、自分では気をつけていても、先行者に起因する落石などの危険性もあります。 北アルプス南部では、槍・穂高連峰のうち、北穂高岳から涸沢岳・屏風岩、前穂高岳(北尾根から吊尾根)一帯、西穂高岳から奥穂高岳、北穂高岳から南岳(大キレット)、北鎌尾根・東鎌尾根の区域です。(ただし、他の山域においてヘルメットが不要という主旨ではありません) これらの山域に入山する際は、積極的にヘルメットを携帯・着用しましょう。
また、上述の「山岳ヘルメット着用奨励山域」以外でも、山の高さや難易度を問わず、山岳遭難は全国各地で発生しています。
平成29年における山岳遭難のうちの4割ほどが「滑落」「転倒」「落石」といった怪我を伴う事故であり、これらは、低山と呼ばれる山での事例も数多く含まれます。これらの事故の際に、ヘルメットを着用することで、落石や滑落の際に頭の怪我を防ぐ、あるいは軽くできる可能性が高くなります。
「登山用ヘルメット」というと、なんだか大げさな感じがしたり、難易度の高い山や急峻な岩場に行く人だけが持っていくものというイメージがあるかもしれません。しかし、実際は決して上級者のためだけのギアではなく、誰にでも起こりうる“万が一の事故”を最小限に抑えるための大切なアイテムなのです。
最近のヘルメットは、一昔前のものよりもグッと軽く、スタイリッシュになっています。カラーやデザインも豊富になってきているのでつい見た目で選びたくなってしまいますが、ここでは、山行中に快適に使うための大切なポイントをいくつかご紹介します。
以上のことに注意して、ご自身の頭の形や用途に合ったヘルメットを選ぶことが重要です。